何もかも、今に始まったことじゃない。

ウルトラマン好き。めっちゃ好き。

必忘録

僕は『永遠』を求めたことがなかった。

それは、そう口にしたとしても、いつか朽ち果てるものだと思っていたから。不変を信じられなかったから。誰もが大人になり、時を経て夕闇に消えてしまうから。

 

言葉を選ばずに、飾らずに言おう。

僕だけが永遠を信じて、その他の全てに裏切られるのが怖かった。僕だけが永遠で、みんなが次の何かに向き合ってしまうことが本当に怖かった。僕の信じたものが永遠じゃなくて、なのにそれを知らずに待ち続けてしまうことが怖かった。その場から動けなくなってしまうことが怖かった。

 

でも、そうじゃなかった。

『永遠』は思っていたより高尚なモノじゃなくて、僕らの傍にあった。

 

ウルトラマンタイガ』という若き戦士と『工藤ヒロユキ』という青年の出会いがあって、別れがあった。だから僕は少し絶望した。未来への展望は輝かしいものであったが、それを見届けることはきっと僕らにできないのだと──心の何処かで思っていた。同じ永遠を信じていても、その永遠を共有できるのはトライスクワッドとヒロユキの四人だけで、僕は蚊帳の外なんだと思っていた。

 

違った。

かつて、一度でも繋がってしまった僕らはもうただの惑星ではいられなかった。

星と星が繋がった時紡がれるのは星座で、僕らはひとつのコンテクストになる。

 

弱かったのは俺だった。俺だけが弱かった。永遠を信じられていなかった。みんなは、タイガは、ヒロユキは、永遠に身を置いて、その上で強くなっていた。僕は僕の弱さを悔いた。だって、タイガもヒロユキも、四年経ってまだ待っていてくれたから。こんなに弱くて情けない俺に手を差し伸べてくれた。一緒にいこうって言ってくれた。また会おうって言ってくれた。

 

会いたくて、話したいことがあっても、それでも、心で繋がっていて、何かを伝える必要がないというのなら、ヒロユキがそういうのなら、だったら僕は何も言えない。何時間でも何日でも何か月でも何年でも語らっていてほしい。肩を組み合っていてほしい。それでも、それを口にするのは憚られてしまう。

 

ウルトラマンタイガ』は放送当時、かなり叩かれていた。このブログでも同じタイガ好きに向けて「自分を信じて強くあろう!」だなんて言っていたけれど、それは弱い自分を鼓舞するための言葉だった。記事を褒めてくれた人もたくさんいたけれど、そんなに素敵なものじゃなかったんだ。俺はタイガのことが好きで、そのことに自信を持っていたかったから、強いフリをして無理に言葉を生成していただけ。失望されただろうか。別にそれでも構わない。僕の弱さもタイガたちは受け入れてくれた。愛してくれてありがとうって、そう言ってくれたから、俺も少しは正直に話せると思う。

 

タイガは数年のうちにみるみる人気が上がっていった。個性豊かなトライスクワッドは登場の度にみんなに喜ばれるようになる。キャラ人気というやつか。エピソードに関しては今でも微妙な顔をする人が多い。僕はそんな奴らがみんな嫌いだ。死んでしまえばいいとさえ思っている。タイガはエピソードも豊潤で面白いんだって本当は言いたい。

でも、言えなくなってしまった。

タイガ好きの人が増えてきて、所謂「エモい」語りをする人たちが増えてきて、僕の居場所がなくなったように感じられてしまったからだ。僕は自分を高尚な人間だと勘違いして、そういった人々と同列に扱われることを嫌がった。本当は、人間以下の愚図程度の存在に堕ちていたのに。今はもう、ピリカに他星の友人がいたことを覚えている人間はいない。希望で世界を照らす魔法使いがいたことを思い出そうとする人間はいない。そのことに無性に腹が立つ。そのテクストを見逃してタイガを語れるはずがないと思う。俺は、俺にとってのタイガは、全てのことに意味があって………………だから、嫌になった、人の前で気軽に彼らの話ができなくなった。

 

僕が弱かったんだ。

好きで好きで仕方ないなら、その在り方の全てを愛していて、永遠を信じるなら……僕が語り継げばよかったんだ。毎日毎日、飽きもせず、同じ話をして。周りの人から呆れられたとしても、僕はその意志を貫くべきだった。その懺悔すらタイガたちは軽く笑って流してしまう。そりゃそうだ。タイガたちは自分のしてきたことを誰かに誇りたいわけじゃない。自分の在り方を正しく捉えてほしいわけじゃない。いつも誰かの為に戦って、その結果傷ついたって笑っているんだ。

 

彼らは光なのだという。それは属性的な話じゃなくて──心の在り方、今いる場所の話。僕は願う。光である前に、ひとつの命であってほしくて、戦って傷ついてしまうくらいなら、世界の隅で誰かと笑い合っていてほしい。それも俺のエゴだ。

工藤ヒロユキは強大な闇と遭遇して、ひとつ先の未来を希った。最後まで諦めなかったから──タイガたちと再会することになる。そこには仄かに光る永遠があった。

そんな眩い姿を見て、僕は永遠が欲しくなってしまった。で、タイガたちはその輪の中に俺をも受け入れてくれる。強くなった彼らは、停滞していた俺を見捨てずにいてくれた。

 

僕も、強くなりたいと思う。

好きなものを丁寧に愛し、今度は死ぬまでその愛を掲げていたい。

 

嗚呼、思い出したよ。

僕はウルトラマンが好きだ。