何もかも、今に始まったことじゃない。

ウルトラマン好き。めっちゃ好き。

地球人は、そんな世の中をつくれると思うかい?#6『円盤が来ない』

書きます。

 

ウルトラマンが好きです。

 

ウルトラマンタイガ』

第6話『円盤が来ない』

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この人は円盤じゃありません。タイガです。



アバン。望遠鏡から星を覗く男。降りてくる円盤から現れたのはガピヤ星人アベル。劇場版ウルトラマンオーブに登場したガピヤ星人サデスの弟です。秒でキャラの濃さを押し出してくる辺りが兄に負けていません。ラジオ体操してたもんな兄ちゃん。

 

E.G.I.S.の定時って何時なんだ……と思わせる外の暗さで帰る佐々木カナ。今回は彼女がメインのお話です。他のメンバーは家帰れてるんか? 命をありえないくらいかけているので給料が良くないとやっていけませんね。ハハハハハ……と笑いながら帰宅するカナが怖いです。

 

トライスクワッドの話題になったシーンで思わずタイタスとフーマの名前を出してしまうヒロユキが可愛い。本当にピュアで真っ直ぐな主人公ですね。誤魔化し方が下手。

 

アベルと交渉している星に帰ろうとする男を勘違いした形で救い出すカナ。放置していたら殺されていたのでこれで正解です。

 

E.G.I.S.に連れて帰りヒロユキと共に男の話を聞きます。ここの内容は今回のオマージュ元となっているウルトラセブン『円盤が来た』に準拠したものになっていますね。宇宙人を自称する男は美しい星の世界に帰りたいと語ります。が、どう見ても普通の人間なのでヒロユキは疑います。お前の体内三人も変なのいるじゃん。

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お前はゼアスか。

アベルを呼んだのはこの男、霧崎/ウルトラマントレギアです。しがない悪魔を名乗っていますが、厨二だのなんだのってバカにした戸井ゆきおくんに謝ってほしいです。今回は珍しく星に帰りたい男の話には無関係な様子。

 

そしてカナの回想。刑事として活動している時代、連行されるセミ少女を救えなかったカナはそのことが大きな影となり心を占めていたのです。だからこそE.G.I.S.を創設したのだと思うとこれまでの物語がまた深くなっていきます。

 

近所の人々から言いたい放題されている男を、庇うカナがとてもカッコ良かったです。

 

そして今回の名シーン。

 

「ひとつくらいあるんじゃない? 地球の良いところ」

 

「蕎麦が……美味しいくらいかな」

 

「いいじゃない……え? かけ派? 盛り派?」

 

「そりゃ断然盛りだよぉ……」

 

「あたしも同じ。打ち立てのヤツを……辛めのつゆで!」

 

「そうそう! 薬味なしで……それを勢いよくズーって啜るんだ! そののど越しと……鼻に抜ける香りときたらもう! ……それぐらいしかないよ」

 

この会話を何度も何度も咀嚼しているうちに色んな想像を掻き立てられました。男が美味しそうに蕎麦を啜る様子や、それぐらいしか良いところがないと言い切ってしまう程の感情……味わい深い名シーンです。演技の素晴らしさもあり泣いてしまいそうになる尊さがありました。

 

邪魔をしに来るアベル。ヒロユキとホマレが急いで向かいます。目撃者は消すといいながら割と遊んでるアベルさんは馬鹿なんでしょうか。そういうことするからウルトラマンに勝てないのです。諦めている男と為すべきことのために戦うことを選択するカナ。宇宙人に対して向けるのは腕力でも武器でもない、燃え盛る前進する魂。決して諦めず少しでも前に進もうとする限りフィクションは人間に力を与えてくれる。ギリギリのタイミングで到着するホマレたち。追い詰められるアベルが適度に情けなくて面白い。

 

巨大化したらタイガの出番! 一瞬挟まれるファミレスの演出がいいですね。

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魂の共鳴を邪魔するな、アベル

ガンマンということで光線の打ち合いが開始します。これがなかなか見応えアリ。凄く良かったです。今回はセグメゲルリングで攻撃、毒を使うヒーローというのは実に陰湿です。それを見て妖しく笑う霧崎。怪獣リングを使うと何かあるのでしょうか。あるのでしょうね、なかったら霧崎間抜けすぎるのでそれはそれで面白い。

 

そしてタイタスにチェンジ。

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スターシンボル仕上がってるゥ!

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そんな筋肉してたら眠れない夜もあっただろ!

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肩に小っちゃいインペライザー乗せてんのかい!

馬鹿か???????????????????????????

間違いなくキレているのは製作陣の脳細胞です。妙な形で流行にフィットしているのがどうしようもなく笑えるのでやめてほしい。好き。もっとやって。

 

なぜかアベルの攻撃をマッスルポーズで全て弾く。お尻の筋肉さえも強靭らしいです。知りたくなかった。U40の誇りを貶されると怒るタイタスが最高です。ボイスドラマと併せて楽しむことでタイタスが無限に好きになります。

 

そして人を守るためにフーマへ。ここが最高に痺れました。倒すだけなら三人である必要はなくて、互いに足りないものを補い、大切なものを守るために戦う。ウルトラマンとしての意識が完成されているのが気持ちいいです。

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これこそが『ウルトラマン』。

カナと男は話を続けます。
壊れる街。カナのやりたいこと。何故他人のために戦えるのか。

これまでのウルトラシリーズで幾度となく命題にされた物語。

ウルトラマンメビウスの小説『アンデレスホリゾント』内でも無償の犠牲については言及され、主人公だったハルザキカナタは『幸福の王子』という童話になぞらえて納得しました。そう、彼らは善意を無条件に呑み込んでいる。たとえ何度裏切られても信じてしまう。ザラブ星人アイデンティティが文明の破壊で、ウルトラマンがその反対であったとしたなら……という文脈が他人を信じきれない人間を如実に表していて感動してしまったものです。

 

地球を諦めたくないカナと、信じきれない男。

 

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これで決める。

ビクトリーレットでアベルを撃破。男はそれを見て歓喜。矛盾する自らの気持ちを戸惑いながらも自覚します。いつだってカナは笑顔です。男の困惑さえも彼女は邪魔しない。全ては自分で決めることだから。

 

そしてまた名シーン。

 

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この選択を愛したい。

迎えに来たペロリンガ星人。男は星の世界に帰らないことを選択します。ペロリンガ星人は彼の意思を確認すると、円盤に乗って綺麗な星の世界へ帰りました。

 

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なんて美しいのでしょうか。

物語はここで終わり。

 

ウルトラセブン『円盤が来た』をベースに作られた『円盤が来ない』、みなさんはいかがだったでしょうか。私はニュージェネレーションシリーズの中でも随一のクオリティだったと思います。かつてペロリンガ星人が変身していた少年を演じていた高野浩幸さんが本名の明かされない『星に帰りたい男』として登場し、BGMや画角などウルトラセブンを存分にオマージュしました。50年間良いことがなかった男が蕎麦を愛してしまったことの尊さが、俺にとっては異常なほど重かった。貴方はあんな感情的に蕎麦を語れますか? 俺はきっと、ウルトラマンを話すのならできるんだと思います。多分本質はそういうことで、心から好きになったものがあって、好きなもの以外を憎めるのかと言うと決してそんなことはないんです。男が本当に宇宙人だったのかはわかりません。ウルトラセブンとの繋がりも明言されていません。でも、それが美しいんです。俺に考える時間と命題をウルトラマンはまた与えてくれた。嗚呼、気持ちがいい。

 

信じられないものがたくさんあるこの時代だからこそ無条件に他人を信じて輝く人が眩しいんですよね。時には気に食わないことがあるでしょうしイライラすることもあるけど、それでも輝きは色褪せたりしないから。男はウルトラマンやカナからそういうことを感じ取ったんじゃないでしょうか。そして今、彼は美味しい盛り蕎麦を食べられているといいなァなんて、心から願ってしまうんです。

 

こんな気持ちになれて幸せだ。ウルトラマンが大好きだ。

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フーマが強い!!!

次回『魔の山へ!!』次なる新怪獣、ナイトファングが参戦です!

 

youtu.be

はい、ボイスドラマ。前回重大なことをばら撒いてきたタイタスの兄貴は今回もヘヴィに動き回ります。何が面白いってザ☆ウルトラマンで描かれた戦いが別の角度から今語られるという部分。展開がなんとなく読めてしまう王道だからこそ今のタイタスを考えると目頭が熱くなってくるのです。中編ということは恐らく次回が最終回。タイタスを巡る運命はどんな螺旋を描くのか。トライスクワッドと共に歩んでいきましょう。